インドネシア語の時間

今年の春から週に1度、インドネシア語を習っている。日本人にとっては比較的習いやすい言語ではなかろうか。発音や文法も(今のところ)それほど厄介ではない。難関は形態論だが、これは慣れるしかなさそうだ。面白いのは時間の表現で、「3時50分」を「4時10分前」のように言う。これだけ見ると、それがどうしたと言われそうだが、日本語や中国語では「4時10分前」のようにも言えるのだが、インドネシア語では「4時10分前」としか言わないのである。「3時29分」までと、「3時半」以降とでは表現がまったく異なってしまうのだ。ちなみに「3時半」は「半分の4時」で、「3時半」を過ぎると、「4時○○分前」式の言い方になる。担当の先生によれば、この言い方はオランダ語から入ったものだという。
インドネシアではデジタル時計がまったく普及していない由であるが、当然というべきだろう。「3:50」という表示を見て、「4時10分前」と言い換えるのでは不便この上ない。先生の想像では、もしインドネシア人がデジタル時計を作ったら、「3:50」ではなく、コロンの部分「:」が「+」「-」の切り替えになるのではないかという。つまり「3時10分」ならば「3+10」で、「3時50分」なら「4-10」という形式だ。
なお、インドネシアでも空港などでの表示は世界標準の「15:50」式だが、この場合はどうしようもないので、一つ一つの数字を棒読みにするらしい。日本語ならさしずめ「イチ、ゴ、ゴ、ゼロ時」というところか。

この記事へのコメント

もとやす
2010年01月25日 10:30
はじめまして。台湾のブヌンという少数民族の言語を研究している言語学者です。さっき妻が立ち寄って、おもしろいブログだよと教えてくれたので、拝読しました。土田滋先生や遠藤光暁先生といったいつも親しくさせていただいている方のお名前もあり、親しみを持ちました。

インドネシア語の時間表現なのですが、僕がたまたま手元にあったウトモ・スリ・トニワティ(1991)『SS式すぐに話せる!インドネシア語』(ユニコム)の33頁を見たところによると、「5時45分です」は:

[1] Pukul lima lewat empat puluh lima menit.

とあります。これは日本語でいえば「5時45分過ぎ」式の言い方ですよね。同じ頁には「6時15分前です」もあり:

[2] Pukul enam kurang seperempat.

もあります。日本語の「6時15分前」式の表現ですよね。両方のっていたので、どちらもありなのかなと思った次第です。ほんとうに「インドネシア語では「4時10分前」としか言わない」のだとしたら、とてもおもしろい話ですね。