『英語史入門』

橋本功『英語史入門』(慶應義塾大学出版会、2005.9.10発行、2400円)。こんな本を待っていた。他の英語史の本では消化不良になっていたような事柄が丁寧に説明されている。例えば、アルファベットの字形についての説明も詳しく、1611年の『欽定訳聖書』に用いられたアルファベットの字形表が載っていたり、『欽定訳聖書』やシェイクスピアの墓石拓本の写真を例に出して、ルーン文字thornがアルファベットの「Y」と混同される様子を示している。統語法の変遷についての説明も詳しいが、この本の価値は何と言っても、「聖書」を基軸として英語史を捉えている点にある。これは著者が聖書研究の専門家であることによるが、英語史研究は聖書を無視しては成り立たないから、王道と言ってよかろう。『リンディスファーン福音書』と呼ばれるラテン語訳新約聖書の行間に、古英語による注釈が書き込まれている、といったようなことも、本書では通常の入門書よりかなり丁寧に説明される。英訳聖書が初めて印刷されたのが、英国ではなくドイツであったというのも驚きである。
ちなみに、最初はこの本を購入する予定はなかった。たまたまAmazonから1500円分のギフト券が送られてきたので、それを使い切るために、この本を選んだ。Amazonには感謝である。
英語史入門

この記事へのコメント

キタキツネ
2006年10月25日 21:35
この本の「第2刷」が出ました。なんと扉の次の頁にシェークスピアの遺書にあるサインの写真が加わりました。一層、好奇心が湧く仕様になっていました。また、欽定訳聖書の扉の写真の説明も追加されています。面白い説明です。一読に値します。
中村雅之
2006年10月30日 12:11
キタキツネさんのご教示を受け、「第2刷」を書店で見ました。うーん、シェークスピアのサイン、いいですね。欽定訳聖書の扉の説明もさすが聖書の専門家です。あやうく購入しそうになりました。