85歳

 平岩弓枝の文庫新刊を読んだ。『千春の婚礼 新・御宿かわせみ5』(文春文庫、2018年1月10日刊)で、幕末を描いた「御宿かわせみ」シリーズ全34冊に続く、明治初期の「新・御宿かわせみ」シリーズの第5冊である。巷では新シリーズになってから面白くなくなったという声もあるが、お馴染みの面々に会えるのはファンとしては嬉しい。

 驚くのは作者の平岩弓枝が1932年生まれ、現在85歳だということだ。頭を使っている人はボケないものなのか、執筆意欲は衰えないものなのか、ただただ畏れ入るばかりである。もっとも、白川静のように96歳の天寿を全うする直前まで執筆や講演を精力的におこなっていたという学者や100歳で現役の医者だった人もいるから、上限を決めてはいけないのかも知れないが、一般的には85歳で元気に文筆活動をしているのは稀なことだろう。

 一か月余り前に平山久雄先生から論文の抜き刷りを頂いた。『切韻』の編纂に関わる問題を論じたものである。ここ数年は毎年『切韻』関連の論文を発表しており、1988年に『開篇』に書いた「『切韻』序と陸爽」以来持っていた問題意識を30年間持ち続けていたことになる。その平山先生も現在85歳である。1967年に書かれた「中古漢語の音韻」は今なお中古音の最良の概説であるが、それから50年を経ても第一線に立ち続けていることには、もうひれ伏すしかない。

 85歳、まだまだ現役。
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