テーマ:漢語音韻史

石崎博志『琉球語史研究』

 石崎博志『琉球語史研究』(好文出版、2015年3月15日発行)。著者より恵与に与る。  本書の重点は琉球語の音韻史にあるが、その特徴は過去500年余の対音資料をこれまでの研究よりも慎重に取捨選択した点にある。琉球語の発音を音訳漢字で示した『中山伝信録』(1721年刊)の「琉語」では、収録語彙全てを扱うのではなく、先行資料の訂正項…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『パスパ字漢語資料集覧』復刻版

 中村雅之主編『パスパ字漢語資料集覧』(愛知:古代文字資料館、2014年12月20日発行)。内容は、  「パスパ字字形対照表(百家姓・碑文)」(資料作成:洲崎寿光)  「パスパ字字形対照表(宣勅)」(資料作成:得能圭子)  「蒙古字韻・蒙古韻略対照表」(資料作成:谷川由香里)  「蒙古字韻・五音集韻対照表」(資料作成:五十嵐真弓…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

平山久雄著『漢語語音史探索』

平山久雄著『漢語語音史探索』(北京大学出版社、2012年12月発行)。漢語音韻史研究の第一人者である平山久雄氏の論文集。中国語による論文集は『平山久雄語言学論文集』(商務印書館、2005)に続き2冊目となる。日本語による論考をまとめたものは、未だない。平山氏本人が望まないのか、あるいは他の理由によるのかは知らないが、ぜひ日本語の論文集も…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

太田斎著『韻書と等韻図1』

太田斎著『韻書と唐韻図1』(神戸市外国語大学研究叢書52、2013年3月1日発行)。漢語音韻学の概説書であるが、「前書き」によれば、2003年に京都大学大学院で講義をした際の講義原稿をもとに増補修正したものという。概説書とはいえ、かなり細部の問題に立ち入った部分も多く、学生が独学に用いるレベルを遥かに超えている。むしろ、他の教材で漢語音…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

慶谷壽信著『有坂秀世研究-人と学問-』

慶谷壽信著『有坂秀世研究-人と学問-』(古代文字資料館、2009年9月5日発行)。『音韻論』、『国語音韻史の研究』、『上代音韻攷』、『語勢沿革研究』で、言語学・国語学・中国語学に多大な貢献をした有坂秀世についての研究をまとめたもの。著者の慶谷氏は、中国語音韻史が専門であるが、有坂の学問に傾倒し、1980年代に有坂の生涯と学問について精力…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

南朝四百八十寺

「江南春」などのタイトルでよく知られている杜牧(803-852)の詩の第三句が「南朝四百八十寺」である。日本では伝統的に「ナンチョウ シヒャク ハッシンジ」と読まれている。最近、松枝茂夫編『中国名詩選』(岩波文庫)でこの詩の解説を読んでいて、ギョッとした。<四百八十寺>の五字が「みな仄声(去・入・入・入・去)で、sied-pak-pu&…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『中古音のはなし-概説と論考』

中村雅之著『中古音のはなし-概説と論考』(古代文字資料館、2007年10月31日発行)。漢語音韻史の要である中古音についての概説と論考である。第一部の概説篇は著者が長い間富山大学で使用していたテキスト「音韻学入門-中古音篇」の新版、第二部は専門的な論考からなる。収録論文は「中古音重紐の音韻論的解釈をめぐって」「古代反切の口唱法」「同字省…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(10)

9.音韻資料の扱い方 漢語に限らず、全ての言語資料において、三つの性質が含まれている可能性を考慮すべきである。その1は、同時代性。例えば、18世紀の資料であれば、18世紀の言語状況が反映される。その2は、伝統継承性。たとえ18世紀の資料でも、17世紀や16世紀あるいはそれ以前の状況が反映されることがある。このようなことは過去に影響力の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(9)[初稿]

8.近世音とは何か 漢語音韻史で「近世音」という時、通常それは「元明清」の音韻(とりわけ『中原音韻』の体系)を言う。これは、「上古音」が周代~漢代(代表は『詩経』における音韻体系)を、また「中古音」が六朝後期~唐代(代表は『切韻』の体系)を言うのと同様に、時代区分である。しかし、これらを一本の線で結んで、上古音>中古音>近世音という変化…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(8)[初稿]

7.清代の対音資料 明代と同様に清代の資料も、北京語を表記したものと南京官話を表記したものに大別される。北京語と南京官話を分かつ音韻特徴は、おおむね次の三点に集約できる。(最初の二点は明代以来の特徴である。) 第一点は果摂一等牙喉音開口(「歌」「可」など)の主母音である。北京音では非円唇[-੪]、南京官話では円唇母音[-o]…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(4)[第2稿]

3.m韻尾のn韻尾への合流 近世音は/-m/韻尾の有無によって、前期と後期に分けることができる。13~14世紀のパスパ文字やペルシャ文字、あるいはウイグル文字による漢語語彙表記では中古音同様の/-m/韻尾が確認できるが、16世紀前半の『老乞大』『朴通事』(いわゆる「翻訳老乞大・朴通事」)のハングル表音ではすでに/-n/韻尾に合流してい…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(7)[初稿]

6.明代対音資料の性格 明代の重要な対音資料として次の三種がある。 (1)14世紀後半の『華夷訳語(甲種)』と『元朝秘史』におけるモンゴル語の漢字音訳。 (2)16世紀前半の崔世珍による『翻訳老乞大』『翻訳朴通事』のハングル対音。 (3)16世紀末から17世紀前半の宣教師たちによるローマ字資料(リッチ Matteo Ricci …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(6)[初稿]

5.元代における果摂一等字の主母音 現代北京語では「哥」「可」「何」など果摂一等韻に属する音節の主母音は/-ə/であるが、元明清の対音資料では「-o」で記すものが多い。すなわち、元代のパスパ文字資料、明代のローマ字資料、そして清代のいくつかの満洲文字資料では、いずれも果摂一等字の主母音を「-o」としている。中古音では後舌広母…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(5)[初稿]

4.尖団の区別 後期近世音の重要なトピックの一つに「尖団の区別」というものがある。これはピンインの「j」「q」「x」で表記される音が、明代以前には2系列の異なる音声であったのが、清代中期以降にその区別を失って合流したものである。その2系列のうち一方を「尖音」、他方を「団音」という。伝統的な韻図の枠組みで言えば、「尖音」が「歯音」、そ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(2)[第2稿]

1.入声韻尾の消滅 漢語の音節は大別すれば「声母+韻母」、細別すれば「声母+介音+主母音+韻尾」に分類できる。これに声調が音節全体にかかる。/kuan/ならば、声母が/k/、介音が/u/、主母音が/a/、韻尾が/n/ということになる。主母音以外はゼロ要素になることもある。/kan/では介音がゼロ、/kua/では韻尾がゼロである。「韻尾…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(3)

2.近世音の声調 中古音では「平声」「上声」「去声」「入声」の4種の声調があると認識されていた。この4種はその後の多くの韻書でもそのまま(形式上)踏襲されることが多かったが、元の周徳清『中原音韻』に至って、「陰平声」「陽平声」「上声」「去声」の4種に改められた。入声がその韻尾を失って他の声調に分属しただけでなく、平声が陰と陽の2類に分…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

漢語音韻史入門--近世音篇(1)

本稿は漢語音韻史の基本的な問題のうち、近世音に関わる部分について概説するものである。漢語音韻学の基本概念については、すでにPDFファイルで公開している『音韻学入門--中古音篇』で詳しく述べてあるので、興味のある方はそちらを参照されたい。(Webサイト古代文字資料館の単刊から入って下さい) この近世音篇ではもっぱら近世音(10世紀から19…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more